ぬにゅー(2011)
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「煮物対焼き物の戦いが、食卓の上では今日も繰り広げられているというのか?」
ふと気がつくと、煮っ転がしているつもりが煮っ転がされていた。
「あいつはガチガチの煮こゴリストだからな」
これが周りの石を全て焼き尽くすという真の石焼き芋か
「素焼き焼けぼっくいに火をつけてまわったあの善次郎が、火消し魔として名を馳せるなんて」と言っておかみさんは涙を見せた。
よしおは、根性焼きを燃料にして動く不良型ロボットとして生を受けたのだ。
「おばあちゃんの顔が茹で上がっているわ‥ まるで生きてるみたい」
彼は生きるアルデンテと呼ばれるに相応しい男だったが、ヘルニアが悪化し引退を余儀なくされた。
蒸しパンガンマンとして夕焼けを背負わなければならない使命を背負っている彼は宿命のライバルの子供も背負っていた。
母に布団蒸しされたことにより蒸発した父の行方を捜すため全国のご家庭のお布団を交換する旅に出た私。
「干してもいいが、絶対に乾かすなよ」
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伝説の家庭料理「三重苦」は、味も匂いも形も食感も全てが一致しない、我が家でしか作ることができない伝説の家庭料理だ。
「味はキムチなのに見た目はフランスパンで、食べるとぱりぱりしていてなんか魚臭い!」とその家に訪れたお客さんは「三重苦」を食べて驚いたものだ。だが最初は面白がっているものの、次から次へと出されるバラバラ料理に、「だんだんこの三重苦と見た目が同じあの料理がどんな味だったかわからなくなってきた‥」と言って客はブルーになっていく。こうして客に気まずい沈黙を強いるのが、この家にとって最高のもてなしだったのだ。
ところで、そこの子供であるまさはるは通常の料理がほとんど食べられなかった。「三重苦以外の料理は、味も見た目も匂いも、全部バラバラじゃないか」というのがその理由だったという。


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外で焼き芋を売る呼び声がしていた。
「石焼き芋買ってきて」
「はい」
僕は姉の要求におとなしく従う。従わないとあとで折檻を受けるからだ。
道の遠くにそれらしき人影が見える。
近づくにつれ、なにか違和感を覚えた。よく見ると売っている人は仮面をかぶり、シルクハットを頭の上に載せていた。口が三日月に裂け、それが笑っているようにも見える、気持ちの悪い仮面だった。
「しかもあれは石焼き芋じゃない!」
「毒焼き芋」と大書された看板を背負い、リヤカーを引きながらゆっくりとこちらに向かってくる謎の男(かどうかもわからないが)。
「毒焼き芋はとてもおいしいよ」
と僕の正面にきて男はミッキーマウスと同じ声で言った。
「毒焼芋ってなんですか」
「‥ 石焼芋は何で焼いている?」
「石です」
「つまり、そういうことだ」
「毒で焼いてるんですか?」
「さあこれからじゃんけんをしよう」
「ちゃんと答えてください」
「じゃんけんぽい」
「まってください」
ぼくは手を広げてそう言った。
「パーか。君の負けだな」
男はチョキを出していた。
「では負けた君には毒焼き芋をあげよう」
僕は毒焼き芋を手渡され、家に帰った。
「お姉ちゃん、フニャ焼き芋かってきたよ」
「あらありがと」
そう言って姉は目の前で毒焼き芋を食べ始めた。
しばらくたつと、姉は俯いて、何事かを呟き始めた。その声は2オクターブほど下がっていた。
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「みつつごちゃんがうまれたとき、わたしはおっかさんの腹の中にいたという。ぶた肉だけは食べないようにしなければ、ぶた肉だけは、といいながらおかあさんは生まれる前に我が子が子どもをはらんでしまうのがこわくてこわくて、ぷよぷよぴゅぴゅぴゅ、そういっておかあさんは白い飯をいっぱい食べた。
おかあさんが飯をいっぱい食べるごとに、みつつごちゃんがぽんぽん、生まれたという。
だけどわたしはみつつごではなかったのでまだ腹の中にいる。
おかあさん、私を早く生んでください。
そしてあなたのだんなさんを墓にほうむって、白い飯をいっぱいでもいいから食べてください。」
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アイスクリームで日出づる国の天子の肖像を形作ったのに朝になるといつも溶けていた。
「まあ日が出づるんじゃしょうがないだろ」と言った父の口元にはいつも白いものがついていて、聞き質した私だったが、「子供の頃に飲んだ脱脂粉乳の名残りだ」と言って彼は聞かなくて、それに怒った私は彼を冷たくした。「やがて日出づるから」と騙された男の生白い両足がはみ出ていて、おばあちゃんの形見の入れ歯が、コップの底で震えていた。
