もの、おと(23.46 セント)
2023|映像
この作品は、ピタゴラス音律と平均律を使った音楽作品であると同時に、アニメ・テクスト作品である、といえる。ピタゴラス音律とは、すべての音程の周波数比が3:2の比率を基本とする音楽の調律法であり、古代ギリシャに限らず、古代の中国でも、この音律が用いられてきた(「三分損益法」)。そしてこの音律は、中国から、朝鮮半島、日本に伝わり、古くから日本の音楽の調律法としても存在している。
まず最初に、ピタゴラス音律に基づいたメロディが、サインウェーブで奏でられる。次に、ピアノによって同じメロディが奏でられるが、この時ピアノの調律は平均律を使っている。両者は同じメロディであるが、ピタゴラス音律の場合、オクターブ間に音程のわずかな違い(ピタゴラスコンマ)が生まれるため、二つのオクターブ間のサインウェーブを同時に発生させると、音の揺れ・干渉が発生する。平均律の場合には、それは発生しない-平均律とは、ピタゴラス音律のような「完全五度、完璧な調和」音をあきらめ、音の揺らぎを抑える方向に音階を調整していったものだからだ。
タイトルにある「23.46 セント」(半音の約4分の1)とは、そのわずかな差(ピタゴラスコンマ)を示す数値である。だがこんな説明では結局わからないので、実際に経験-視聴していただくほかない、と外島は思っている。



